アクタスのリノベーションで標準仕様として選ぶことができるオリジナルシステムキッチンは、キッチンのみの部分リフォームや、新築住宅のキッチンにも採用することができます。今回ご紹介するのは、新築住宅にアクタスのオリジナルシステムキッチンをご採用いただいた事例。キッチンをインテリアの主役に置いた空間づくりをレポートします。
欲しかったのは「食」を囲んでゲストと楽しめる空間
世田谷区の住宅地に、ご両親と暮らす二世帯住宅を新築したMさん。1階がご両親のお住まい、2階がMさんと愛犬のお住まいです。1階の玄関から2階のLDKに上がると、目に飛び込んでくるのは大きなダイニングテーブルと壁幅いっぱいにつくったL型キッチン。ナチュラルなカラーのフローリングと白で構成された空間に、ローズグレーのキッチンがシックな雰囲気を醸し出しています。
Mさんのお仕事は空間デザイナー。オフィスや商業空間をデザインする設計事務所にお勤めしており、今回の家づくりではお住まいの大まかなプランニングと構造の建築まではハウスメーカーに委ね、床や壁などの内装仕上げ、キッチンやサニタリーの設備機器は、Mさんご自身が材料や施工を手配して空間づくりをしました。
「家づくりを進めるうちに、やりたいことがどんどん増えていって、自分でディレクションすることになりました。その中でも、一番重視したのはダイニングキッチン。友人を招いて食事をすることが多くて、料理をすることも食べることも大好き。食事を囲んで人が集う場所を大事にしたいと思っていたんです」
オークで作られたダイニングテーブルは、木工所に製作を依頼したオーダーメイド。天板のサイズが2.4m×1.2mあり、「料理と取り皿をたくさん置けるように」とMさんが指定しました。愛犬を通じて親しくなった“犬友”や仕事仲間を招いては、みんなで食卓を囲んでいるそうです。
「LDKのインテリアは、キッチンを中心に考えていきました。アクタスのオリジナルシステムキッチンを採用することは、家づくりの当初から決めていました」
「家具」として空間を飾るキッチン
Mさんが選んだのは、アクタスのリノベーションスタイル「slow style」のキッチン。実はMさんはアクタスの元スタッフ。設計デザイナーとして、アクタスのリノベーションの立ち上げにも関わっていました。
「どこが好きかというと、パネルモールドをデザインに取り入れたフロントドア。標準色の5色から選んだ“モルト”というカラーは、このキッチンの開発時から気に入っていた色でした」
アクタスのオリジナルシステムキッチンは、“システム”とは呼ぶものの、サイズも収納の配置もお客様の要望に合わせて設計するセミオーダー。天板や設備機器は使いたいものを選ぶことができ、お料理好きのMさんはリンナイのガスオーブンとミーレの食洗機を導入しました。
「天板は柄の入り具合がほどよくて気に入った、スペインのINALCOというメーカーのセラミック天板。柄入りが良いけれど、柄が入り過ぎているのは嫌で、いろいろな素材やメーカーを探しました」
引き出しには内引き出しを付け、たくさんの食器やカトラリーを一覧性良く収納。内引き出しを付けることでフロントの引き出しパネルの数を少なくして、Mさんお気に入りのパネルモールドが際立つキッチンにしています。
壁側を全面キャビネット付きにすると印象が重くなるため、キッチンの端はキャビネットを付けず、カウンターに。ここでは朝、コーヒーを淹れて飲んだり、リモートワークをすることもあるそう。キッチンを“過ごす場所”にするアイデアです。
「寒い時期は書斎にこもって仕事をしていますが、それ以外の季節はほとんどダイニングキッチンで過ごしています。このキッチンが視界に入るたびに、“いいな~”とうっとりしています。空間を彩る家具として成立するキッチンをイメージしていたので、まさにその通りの空間ができました」
カラフルながら落ち着いた色選びで統一感のあるインテリアに
キッチンを主役にしたLDK以外の空間にも、Mさんのセンスとこだわりが詰め込まれています。青みがかかったグリーンで壁をペイントしたサニタリーは、木目が美しいオークの突板で造作した洗面台が映えています。
床は黒いハニカム形のタイル仕上げ。壁の下部は白い長方形タイルを貼り、重厚なカラーリングの中、サニタリーらしいさわやかさも演出しています。さまざまな形と色と素材を使いながら、細かいパーツを真鍮と黒で揃えてインテリアをまとめ上げるテクニックは、さすが空間づくりのプロ。
「特に床はこだわったところでした。黒いタイルを使いたくて、濃灰色の目地を合わせたんですが、施工してみたら思ったより目地の色が明るくて。なので、入居後に黒色の塗料で目地を塗り潰したんです。自分で筆を使って塗っていたんですが、ものすごく大変でした(笑)」
こちらはパネルモールド“風”の壁仕上げが印象的な主寝室。本来、パネルモールドとは、モールディングと呼ばれる額縁のような装飾が付いたパネルのことを言いますが、こちらの寝室は壁に張った下地のボードに角材を貼って、壁を上下で白とダークグレーに塗り分け。真似してみたいアイデアです。
「ベッドをセンターに置いて、両サイドにベッドサイドテーブルを置くレイアウトにしたかったんです。寝室はゆっくり休むところ。部屋全体を照らす必要はないので、ベッドの真上には照明を付けず、枕元を照らすブラケットライトをベッドサイドに取り付けました」
幼少期をアメリカで過ごし、日本に戻ってきてからの住まいは輸入住宅だったというMさん。人を招くことを重視した広いダイニングキッチンや寝室の家具のレイアウト、照明の取り入れ方には、欧米的なインテリアセンスを感じさせます。
現在は書斎として使っているゲストルーム。床はクルミの無垢フローリング、壁はブルックリン生まれの塗料「ベンジャミンムーア」のペイントを使い、ピンクベージュと白で仕上げられています。
天井際に取り付けたカーテンレールは、天井を高く感じさせるためのテクニック。スペースに対して大きめのソファを置いたリビングも、空間にくつろいだ雰囲気をつくり出しています。
「ソファはアイラーセンのRIG SYSTEM SOFAです。もともと持っていたものに、追加でシートを買って拡張しました。LDKは白が多い空間にしようと思っていたので、張地はCOTTONというシリーズの白にしました」
「全体に落ち着いたトーンにしたので、今後は柄のある壁紙を個室に貼ったり、LDKに飾り梁を付けたりして、インテリアを冒険したいと思っています」
壁の仕上げを変えることも、天井に装飾を施すことも、Mさんにとっては壁に絵を飾ったり、カーテンやラグなどのファブリックを変えることと同じ感覚。そんなMさんの終わらないインテリアづくりの軸となるのが、キッチン。時を経ても色褪せないタイムレスなデザインで、Mさんの暮らしに寄り添い続けます。
アクタスのオリジナルキッチンについてはこちら
https://www.actus-renovation.com/actusplusten/
photo_Hirotaka Hashimoto
text_Kanako Satoh