Case Study 事例紹介

ご主人様主導で進んだ、ギャラリーのようなメゾネットリノベーション

O様邸(東京都稲城市)

面積:101.64m² 間取り:3LDK+WTC ご家族:ご夫婦 + お子様1人

「いつかは自分が好きに仕上げた空間に、住んでみたいなと思っていたんです。過去に新築のマンションを購入して住んでいたこともあったのですが、その時は特に手を加えずそのままでした。

子供の成長に合わせて、この地域に引っ越してきて賃貸暮らしをしていましたが、もう一度家を買うなら、リノベーションをしてみたいなと思ったんです」

そう話すのは、デザイン関係のお仕事をされているご主人様。O様邸のリノベーションは、ご主人様主導で進められていきました。

「リノベーションのテイストは、最初はヴィンテージアメリカン系にしようか、北欧系にしようか迷っていました。けれど考えていくうちに、北欧系の方が、歳を重ねても飽きないかなと思ったんです。僕の実家のインテリアもわりとこういう感じで、自然と落ち着くなと。

デザインを得意としているリノベーション会社をいくつか検討していましたが、たまたまアクタスのホームページを見ていたら、リノベーションをやっていることを知り、安心感があったのと、北欧テイストが得意そうだなと思って、お願いすることにしました。

あとは担当のSさん宅のリノベーション事例を見て、こんな家にしたいなと思ったのも決め手でしたね」

O様が購入を決めたのは、緑豊かなエリアにある、最上階・約100平米のメゾネットマンションです。コロナ禍のはじめにリノベーションがスタートし、ときには対面で、ときにはオンラインで、打ち合わせを進めていきました。

リビングダイニングは3m超えの勾配天井になっており、開放感があります。その隣にある和室の天井も抜くことで、気持ちの良い書斎に生まれ変わりました。

書斎の床は雰囲気を変えて、アクタスオリジナルのオーク材のヘリンボーンをセレクト。天井のウッドパネルもオーク材で揃えています。

また、リビングダイニング・書斎のある下階の壁と天井は、全て塗装仕上げにしたのもこだわりのひとつ。天井高も相まって、居心地の良いギャラリーのような空間が完成しました。

壁式構造だったため、間取りでは特にキッチンの配置について悩まれたそうです。

「キッチンをリビング側に出すか出さないか、すごく悩みました。設計図で見ると広く見えるんですけど、いざ物件にきて『リビングのここまでキッチンがきます。レンジフードのダクトルートが複雑に出てしまいそうです』と説明されると、すごくリビングが狭く感じて。

パントリーをつくったとしても『入れるものは特にないよね』と妻とも話して、悩んだ末にキッチンは元の位置に納めることにしました」

結果としてすっきりと収まった、キッチン空間。ここはご主人様が、奥様のことを想ってプランニングされたそう。

「私はほとんど何もせず、お客さん気分でリノベーションを楽しんでいました。家が完成して『キッチンのグレーがいいね』と、夫に伝えたら『グレーが好きでしょ? だからこの色にしたんだよ』と話してくれました。

オープン収納には憧れがあるんですけど、同時にほこりが気になっちゃうんですよね。キッチン収納が上までぴったりなのは『オープン収納だと、ほこりを気にするだろう』と、夫が私のことを考えてくれたことが嬉しかったです。

パントリーをつくらなくても収納が余っているぐらいで、料理しながらすぐ冷蔵庫にアクセスできて、調味料もすぐ手にとれて、使いやすいキッチンになりました」

キッチンと繋がるリビングには、ルイスポールセンの照明と、シボネのダイニングセットがインテリアの主役になっています。

長年愛用されているダイニングセットは、新婚当時に少し背伸びをして買ったものなのだそう。

思い出の刻まれたダイニングチェアとベンチのレザーの張り替えも、今回のリノベーションを機にアクタスにご依頼いただきました。

ご主人様主導で進んだリノベーションですが、奥様の唯一の願いは「明るい玄関にしたい」というもの。そこで、暗くて狭かった玄関を一新しました。

玄関横の1室をなくし壁や収納を取り払うことで、窓からの光がたっぷり入る、明るい玄関に生まれ変わりました。階段室、水回り、リビング、ファミリークローゼットがゆるやかにつながり、開放感があります。

設計士がこだわったのも、この玄関スペースでした。明るさはもちろんのこと、家に入った瞬間に「かっこいい」と思える空間になるように、床や階段の素材にモルタルを選んでいます。

壁一面の収納はあえてオープンにすることで、住まい手自身の個性が演出できるようにしました。打ち合わせを重ねるたびに、O様なら素敵に飾ってくれるだろうと感じていたのだとか。

ドアを開けてすぐ左の壁一面は奥様の好きなグレー色の板張りで仕上げ、ミニマルな「千sen」の照明が上品なアクセントになっています。

玄関からオープンシェルフに進むと、左手側がファミリークローゼットにつながります。便利な回遊動線になっており、家族の洋服は、ほとんどこちらに収納しているのだとか。

「日々使うたびに、身支度がスムーズにできて、片付けもしやすくて、このクローゼットの良さを実感しています」と奥様は話します。

閉塞感のあった階段室は、片面の壁を一部抜き、モルタルとオーク材を組み合わせることで、玄関や廊下とのつながりが生まれました。

一筆書きのように真っ直ぐと伸びた木の手すりが、空間をそっと美しく見せています。

上階には、子供部屋と寝室があります。こちらはスケルトンリノベで予算をかけた下階とバランスをとって、上手にコストを抑えました。

間取りは変えずに、ドア・床・壁の表層のみをリノベーション。ドアは奥様が大のお気に入りだと話す、ニュアンスのあるグレーの色味をセレクトしました。床は増し張りにし、壁はクロスで仕上げ、一面だけをアクセントクロスにすることで、落ち着きのある空間になっています。

「空間に使う色は、意識的に絞りました。白・茶・グレーをメインに、ときどきアクセントとして黒やゴールド、赤を入れています」

好きなテイストが明確だったO様邸は、ベースは北欧でありながら、お手持ちの家具などが合わさることで、ほどよいミックス感を演出しています。

リノベーションをすることで、メゾネットの最上階という、マンション自体のポテンシャルを最大限に生かすことができました。天井高のあるギャラリーのような空間は、これからもきっと、美しく時を刻んでいくことでしょう。

photo:Hirotaka Hashimoto(before写真を除く)
text:Yuki Akase