Magazine アクタスリノベーションマガジン

[インテリアとデザイン3]

壁紙メーカーがつくる「因州和紙」の壁紙

TJD1804 新蒼海 手捺染の深みのある青と東海桜が美しいコントラストです。

SLOW LIFEを探して

因州で手作りされている紙クロス(壁紙)について紹介します。

因州と聞いて、鳥取県の事だとわかる人は中々の博学です。鳥取県はかつて因幡、伯耆と呼ばれていました。因幡の白兎と聞けば「あの因幡か」と古事記を思い出す方もいるかもしれません。

鳥取県を旅したことがある方には砂丘のイメージが強いかもしれません。

そんな鳥取県ですが、実は奥深い森と豊かな水、永い歴史があります。

大山のブナの森
奥大山 木谷沢の渓流

ずっと変わらない素材

因幡の国では古くから紙が漉かれていて、正倉院にも納められています。

奈良時代から現代に至るまで、数々の技術革新を行いながら因幡では紙が漉かれてまいりましたが、根本的な素材は変更しませんでした。

それは楮(こうぞ)と呼ばれる木の皮です。

晒し終わった楮の樹皮。澄んだ水の中で不純物を手作業で取り除きます。

楮は紙を作るために山から刈り取られるのですが、翌年には同じ場所に同じように生えてきます。

現代の紙の多くは海外の針葉樹を破砕した「パルプ」を使用しています。楮の紙は手間がかかりますが、現代の紙と比べて環境に優しく、また正倉院に残っているほど耐久性のある紙です。因幡で作られるこの紙は「因州和紙」と呼ばれ、書画の世界では広く使われています。

因州和紙を彩る

因州和紙は襖や障子にも使われてきました。その装飾方法は手作業です。

2020年夏に発売した壁紙のコレクション「INSHU」にも因州和紙らしい手作業の装飾が施されています。

手作業で和紙に皺加工を行います。刷毛による入念な着色で工芸品になっていきます。
TJD1851 SUZU 皺によるテクスチャーと幾重にも着色することで深い表情が作り出されます。

因州和紙は楮の紙なので折り畳んだり皺を強く作ったりしても破けません。その丈夫さを使った様々な意匠が紙に映し出されていきます。鳥取の自然からインスピレーションを得た色やデザインを女性の手で紙に染めていきます。

TJD1858 MARBLE
TJD1861/1862 霧の杜

時を戻す空間に

和紙は我々日本人には馴染みのある材料で、とても自然なものです。視界に紙があると心が寛ぎを感じます。

障子や襖、木の家具や木の建具に和紙の組み合わせは繊細な質感を感じさせます。因州和紙は時間を感じさせる調度には最適の背景となるでしょう。

TJD1701 楮紙素
TJD1703 大雲竜

陰翳を求めて

樹脂の壁紙と違い和紙は植物繊維が結合した滑らか且つ複雑な表面になっています。そのため光を様々な方向に拡散させ、光沢のない表情になります。

装飾を施して光沢を出したりしますが、陰翳の深みがある光沢となります。

無地の素材を生かした和紙は照明を組み合わせるとその表情が浮かび上がります。

SLOW LIFEから生み出されるもの

因州和紙は鳥取県の風土に根差した感性・価値観で作られています。

日本で一番人口の少ない地域ですが、それ故に都会では得られない意匠がそこにあります。水と森、穏やかな気候で作られる優しい「モノ」。そして強さがあります。

そうそう、浅草寺の雷門も「因州和紙」です。

「因州和紙」の壁紙コレクション「INSHU」は下記のURLでご覧頂けます。

http://www.seko.co.jp/product_inshu.html

リノベーションでの和紙壁紙の使い方

和紙と聞いて、和室に使うことはイメージしやすいかと思います。

意外にも北欧テイストなどの洋風にもよく合います。

北欧テイストでは、家具や建具に木を使うことが多いですが、「木」と「紙」は相性が良く木のぬくもりと和紙の質感で落ち着きのある空間が生まれ、お互いの良さが引き立ちます。

照明の明るさを絞ると壁面に影ができ、趣のある雰囲気を演出できます。

洋室の壁面の一面だけを和紙壁紙にすることでアクセントになり、デザイン性のあるものを選べばアートのような仕上がりになります。和紙壁紙を中心に家具のレイアウトを考えても面白いです。


アクタスでは、間取りやインフィル設計から、家具のコーディネートまで、住む人のライフスタイルに合わせた上質なリノベーションを提供しています。空間と家具の調和を考えたトータルコーディネートなら、ぜひアクタスにお任せください。