Case Study 事例紹介

憧れの海外住宅のテイストを取り入れた心地よい住まい

N様邸(東京都杉並区)

面積:83.4m² 間取り:3LDK→2LDK ご家族:ご夫婦

「アクタスのリノベーション事例の記事で、“アクタスは私が「こうしたい」と思ったことを否定しないで、一緒に考えてくれた”という施主の方のコメントを読み、そのスタンスに惹かれました。それから、私はウェブメディアや本で海外の住宅事例を見るのが趣味で、特にアメリカの住宅のインテリア空間が好きなんです。Slow Styleに北米のインテリアスタイルのイメージが重なったことと、Slow Styleのキッチンが気に入ったことも、依頼を決めた理由でした」(奥様)

この家に暮らすのは、共に30代のNさんご夫妻。「間取りや内装を自分たちで決めたい」と、自由設計での家づくりができる注文住宅・コーポラティブハウス・中古マンションリノベーションを検討していたそう。注文住宅の会社へ相談に行ったこともありましたが、価格とエリア選びのバランスから、最終的に中古マンションリノベーションを選択。物件探しの段階でアクタスへ相談に訪れました。

「自分たちが思い描いているような空間をつくることができるのか、アドバイスをもらった上で物件を検討したかったんです。現在暮らしているこの家は、リノベーション済み物件として販売されていた物件でした。本当は未改装の物件が良かったんですが、そういった物件はなかなか出て来なくて。この家は立地条件も広さも希望に合っていたので内見を申し込んだら、内装工事の途中段階だったんです。急いで工事を止めてもらって、使わない建材や設備は業者を探して買い取ってもらい、内装をすべてやり変えました」(ご主人)

物件は築40年越えのマンションのひと部屋。引き渡しの段階では3LDKの間取りだったものを、広々としたLDKにしたいというNさんご夫妻の希望で2LDKにしました。キッチン、ダイニング、リビングがL字型に連なっていくLDKは約22畳あり、アクタスオリジナルの幅広ヘリンボーンフローリングが空間を一際ゆったりと演出しています。TV背面のパネルモールド貼りの壁は、奥様のリクエスト。納戸的に使っているウォークインクローゼットに続くドアも同じカラーでペイントして、ドアが目立たないようにしました。淡いカラーリングを基本としたLDKの中で、ネイビーの壁がリビングにコーナー感を生んでいます。

「キッチンは海外住宅事例のキッチンのカラーリングを参考に、フロアキャビネットの面材をグレー、吊り戸棚をホワイトにしました。キッチン天板はシーザーストーンです。正面の壁の立ち上がり部分も天板と同じ素材を張りたいとお願いしたら、天板から柄が続くように仕上げてくれました」(奥様)

キッチンの一角には、内部が収納になったベンチソファを造作。間取り的にキッチンに広々としたスペースが確保できたため、奥様が海外事例で見てピックアップしていたアイデアを反映しました。ここは、奥様のメイクコーナー。コーヒーを飲んだりスマートフォンでニュースを見ながら、朝の身支度をしているそうです。

「洗面スペースもこだわりたかった箇所。木製キャビネットの上に洗面器を乗せた家具のような洗面台にしたいと伝えて、造作してもらいました。タイル貼りにした床も、海外のバスルームが参考元です。天然石のタイルで、アクタスの設計担当者からは角が多い形なので欠けるリスクがあると説明を受けましたが、その上で採用しました。天然石ならではのいろんな色が混ざったデザインなので、汚れが目立たないところも気に入っています」(奥様)

奥様がこれまで見てきたさまざまな海外住宅事例から、お気に入りのアイデアやディテールを各スペースの内装に反映させていく一方、収納計画と配線計画にもこだわったNさんご夫妻。洗面室の収納内にコンセントを取り付けたり、季節家電の電源やスマートフォンの充電用にリビングの各所にフロアコンセントを仕込む、キッチンは引き出しの数を少なく見せつつ小分け収納できるよう内引き出しをつけるなど、そこに何をしまうのか、そこでどんな行動をするのかを徹底的にシミュレーションし、収納と配線を計画していきました。

「間取りや内装だけでなく、自分たちの暮らし方や使う道具に合わせて収納や配線を整えられることも、自由設計のリノベーションならではだと思います。電気配線も、床や壁にコードが露出するのが嫌だったので、スマートリモコンのハブやWi-Fiルーターもあらかじめ配置を決めて、壁の下に隠蔽配線してもらいました」(ご主人)

壁にはもうひとつ仕掛けがあり、「絵を飾れる壁面が欲しい」というご要望を受け、壁面にピクチャーレールを取り付けました。アクタスのリノベーション事例を見て気に入ったというグレーの珪藻土クロスで仕上げられたダイニングの壁に、ご夫妻お気に入りのアートがよく映えています。淡いベージュの壁紙をセレクトした寝室には、壁の色に合わせて選んだという花器が飾られていました。

「ダイニングテーブルやサイドボード、昔アクタスで買ったお気に入り一人掛けソファなど、元々持っていた家具もプランに落とし込んで空間づくりを進めたおかげで、イメージ通りにおさまりました。入居時に購入したアイラーセンのRIG SYSTEM SOFAは、本当に気に入っています。以前の家ではリビングで食事をしたりメイクをしていたのですが、この家ではリビングにいろんな要素を持ち込まないようにしたいと思って、センターテーブルを置かずにソファを大きめでオーダーしました。二人で寝そべることができるサイズで、リビングがゆっくりくつろぐことに専念できる場所になりました」(奥様)

家づくりを振り返って、「ずっと思い描いていた、理想の空間をつくることができました」と奥様。綿密に計画された収納のおかげで空間にはノイズになるものが一切なく、お気に入りの家具や絵を愛でながら、伸びやかな空間の開放感を味わうことができる住まいになっています。空間の見た目から得られる心地よさと、日々の使い勝手から得られる心地よさ。そのどちらにも妥協せず、中古マンションというキャンバスに、自分たちらしい暮らしを描き出したNさんご夫妻。たくさんの居場所と心地よい眺めがある住まいでの暮らしを楽しんでいます。

photo:Hirotaka Hashimoto
text:Kanako Satoh