Case Study 事例紹介

爽やかな陽だまりに家族が集う、築30年の戸建てリノベ

T様邸(東京都杉並区)

面積:104.10m² 間取り:5LDK ご家族:ご夫婦+お子様3人

家々が密集した都市部の住宅地にありながら、1階にも燦々と光が降り注ぐT邸。この家に暮らすのは、アクタスの社員であるTさんと、奥様、長男、次男、長女の5人家族。Tさんご夫妻が3人の子どもたちと伸び伸び暮らすことを考えて選んだ住まいは、奥様のご実家である築約30年の木造2階建てでした。

「何年も前から一戸建ての購入を検討していました。建売住宅も土地も見ましたが、なかなか良いと思える物件に出会えずにいたんです。そんな時に妻のご両親から、二人暮らしで一戸建てを維持管理するのが大変だから住み替えたいという話が出ました。2階に個室が4つある間取りは僕ら家族にちょうど良く、日当たりの良さを知っていたこともあり、リノベーションして住むことにしたんです」(ご主人)

リノベーションでは、家族の居場所となる1階を重視。家の奥まった位置にあったキッチンは、子どもたちが遊ぶプレイスペースとリビングダイニングを見渡せる位置に移動しました。対面キッチンと背面収納は、アクタスのオリジナル。キッチンの面材はグレーを採用し、無垢のウォルナットの手掛けと、ベージュの人造大理石の天板、ざらりとした質感のタイルで、クールすぎない雰囲気に仕立てました。

「シンクとコンロ側に作業スペースをとるのが難しかった分、背面のカウンターを作業スペースとして使えるよう、キッチン家電を置けるスライド棚を作ってもらいました。キッチンの色と素材の組み合わせは、アクタスの設計担当の方が提案してくれたもの。クールすぎるのでもかわいすぎるのでもない、私たちの好みを捉えた組み合わせを提案してくれました」(奥様)

リビングダイニング、洗面室、トイレ、廊下がぐるりと回遊できる間取りになっていることも、Tさんご夫妻のこだわり。家族の出入りによる混雑が起きにくく、洗面室を使う子どもにも目と声が届きます。この家での生活イメージをしっかりと描いた上でプランニングに臨んだTさんご夫妻。ルーターや学校のプリント類を収納できるダイニングのオープン棚や、お掃除ロボットが掃除しやすいようフロート型にした造作のAVボード、洗面室と主寝室に取り付けた一時干し用のハンガーバーなど、暮らしに即したアイデアが各所に盛り込まれています。

「洗面室の二箇所の出入り口は、開けっ放しにしたい時に邪魔にならないよう、引き戸にしてもらいました。ダイニングから洗面台が見えるようにレイアウトしてもらったり、洗面室の壁面収納と引き戸の兼ね合いなど、設計の方が細かく検討してきれいに納めてくれました。限られた面積を効率的に使いながら、動線がスムーズなプランになりました」(ご主人)

LDKとプレイスペースを仕切る引き戸は「天井まで高さがあるものにしたい」というTさんご夫妻のリクエストで造作。現しにした梁と相まって、天井高さを強調しています。今回、T邸のリノベーションでは、キッチン移動のためにリビングダイニングの間口を拡張したこともあり、耐震診断に基づいた耐震補強を行いました。一部の基礎は位置の変更を行い、梁も追加しています。これからを長く暮らす家として、住宅性能の向上もリノベーションに求めていたTさんご夫妻。壁や床の断熱もやり直し、キッチンとリビングダイニングには床暖房も採用しています。中でも「絶対に叶えたかった」と話すのが、窓を変えることでした。

「日当たりの良さは気に入っていたんですが、もともとの家の格子が入った出窓のデザインがイメージと合わなかったことと、窓辺の暑さや寒さも解消したかったんです。1階も2階も、窓はすべて断熱性の高い新しいものに入れ替えてもらいました」(奥様)

窓の交換に伴い、窓辺も木質系の窓枠を設えて印象を一変させました。ウッドブラインドやシェードはすべて、ご主人がさまざまな商品を調べた中からセレクトしたもの。LDKとプレイスペースの窓には、レースカーテンとブラインド両方の機能に加え、紫外線カットの機能も備えたシェードを取り付けました。LDKとプレイスペースの窓は南に面しており、庭越しに一日中明るい日差しが入ります。断熱性のアップと考え抜かれたウィンドウトリートメントで、やわらかな光に包まれた心地よい家族の居場所ができました。

「日中は照明を点けずに生活できる家にしたいと思っていました。かつて住んでいた家なので、どこから光が入ってどんなふうに風が抜けるのかがわかっていたこともあり、玄関の窓は一部を塞いだり、キッチン側の窓もサイズを小さくして、その分、収納を付けられる壁面を増やしてもらいました。窓を大きくしたわけではないのですが、近所に住む両親が遊びに来た時は、以前よりも明るくなったと驚かれました」(奥様)

2階は、4つの個室があるもともとの間取りを活かしてリノベーション。主寝室には一歩足を踏み入れれば3面に手が届く、コの字型のウォークインクローゼットをふたつ並べてつくりました。部屋ごとに異なる色の壁紙はTさんご夫妻がコーディネートし、各所に合わせて防カビ、抗菌、汚れ防止、消臭といった機能も見極めて選択。1階もスペースごとに、色と機能が異なる壁紙で仕上げています。

「1階のLDKはグレーの壁紙で、プレイスペースはベージュの壁紙を使っています。2階の子ども室の壁紙は、子どもたちに色を選んでもらいました。2階のドアや収納の扉はコストダウンのためにメーカーの既製品にしたのですが、僕らの好みに合うマットなグレーの建具を提案してくれました。オリジナルの建材だけでなく、既製品を使う場合も良いものをセレクトしてくれるのが、アクタスのリノベーションのいいところだと思います」(ご主人)

ダイニングテーブルやチェア、ソファ、シェルフとデスク、照明など、アクタスの家具を長年愛用してきたTさんご家族。アクタスのブランド哲学である「ロングライフ」を体現するように、ご実家に残されていた家具やカウンターに使われていたという天板も、暮らしに上手に活かしています。リノベーションの依頼先は他社も検討したそうですが、アクタスのリノベーションの、家具のサイズや使い方までプランニングに落とし込む空間づくりに惹かれたそう。そうしたプランニングを経てできあがった空間は、偏狭な箇所も過剰な余白もなく、Tさんご家族の生活がぴったりと納まっています。

「出来上がった家はすごく気に入っています。夫が夜、なかなか2階の寝室に上がってこないので、ソファで寝てしまったのかと思ったら、ひとりで部屋を眺めてうっとりしていることがよくあります(笑)。もともと暮らしやすい家ではあったのですが、一層暮らしやすく心地よい家になりました」

photo:Hirotaka Hashimoto
text:Kanako Satoh